コラム

赤字を認識した時の対処法

赤字にすると融資が受けられなくなるから、在庫の額を調整して黒字にしましょう

税理士先生にこう言われて見かけ上黒字決算を続けてきました。

気付いた時には在庫は実際の10倍程度にまで膨らんでいます。

徐々に融資を受ける頻度が増え、毎月の返済額が膨らみ続けていきます。

こうして社長自身も、「そろそろ本当にまずい」という認識を持つのですが、その時には何をどうすればよいのか打ち手が見えない。

 

赤字継続企業の典型的な例です。

 

多くの経営者が間違っているのですが、赤字をごまかして黒字に見せかけるという安易な考えは捨て去るべきです(一切の決算対策をするなと言っているわけではありません)。

安易な道を選ぶと必ずしっぺ返しを受けます。

 

 

粉飾決算によって資金繰りが受けるダメージは大きい

 

無理矢理黒字決算にすることで、資金繰りにはいくつもの悪影響を与えることになります。

・本来払う必要のない法人税を納めることになる

・翌期以降に繰越欠損を使って法人税の納付額を低く抑えるという特典が使えない

 

そして、赤字である上にこのように資金が出ていくわけですから、新たな借り入れをしなければ!ということになります。

それによって、

・毎月の元金返済額が増える(証書借入の場合)

・支払利息が増える

 

赤字であるということは、通常手持ち資金を取り崩しながら借入返済を進めている状態になります。

そこへ更に支払利息が増えるのです。

 

こういう借入はその場しのぎとしか言いようがありません。

 

融資を受けてから数か月間、気分が楽になるのですが、その後さらに痛みがひどくなります。

これを繰り返すと、最終的に取り返しのつかないところまで行ってしまうことになります。

 

かつてのクライアントで、究極的な例があります。

年商2億円で、7千万円の純損失。

銀行には噓をつき続けた結果、借入金の額は5億円まで膨らんでいました。

毎月の支払利息は約200万円。

まるで利息を支払うために仕事をしているような感覚になってきます。

大口の注文が取れました! これで利息が払えます! でも、、なんだか虚しい。

という感じです。

「よくぞここまで銀行からお金引っ張ってきたね」とねぎらいの言葉をかけてあげたくもなりますが、そんなことを言ってる間に倒産です。

 

極端な例でしたが、考え方・やり方を間違えるとこういうことになる(かもしれない)のです。

 

 

赤字への対処法に裏技はない

 

ではどうするか?

・赤字だと認識したら、覚悟を決めて真剣に黒字転換のための取組みを進める

・タイミングの問題はありますが、今や完全に市民権を得ているリスケジュールに取組む

 

リスケジュールに取組むと返済額を抑えることになるので、ある意味返済額分の融資を毎月受けているのと同じです。

通常は新規融資が受けられなくなりますが、それを恐れている場合ではないのです。

他にも技術的なことを挙げることはできますが、いずれにしても覚悟を決めなければなりません。

 

こういう状況に陥らないためにも、普段から財務状況を把握し、早め早めに手を打つことが必要なのです。

ちゃんと見ていれば、兆候は必ず見つけられます。

 

 

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- 大村剛史

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