コラム

債務超過の本当の意味

純資産がマイナスの状態。これを債務超過といいます。

といっても、純資産とは何なのか?と思われる社長もいらっしゃるでしょう。

ここでは、社長がご自身で出資して会社を興したと仮定してお話しします。


純資産=自分の会社に投資した成果

 

会社を興す時に自らのお金を出した、そのお金は会社では資本金という扱いになっています。この資本金は、事業運営のために自由に使えるお金です。

そして、資本金を使って様々な投資を行い、売上を立てて利益に繋げていくという流れになります。

利益を出せば出しただけ、資本金と同様に自由に使えるお金が増えていきます。

この、資本金と毎期獲得していった利益の合計が純資産です。

 

要するに、会社というものは「資本金」という名で投資をして、「利益」という見返りを得る。見返りをいかに増やすかというマネーゲームなのです。

語弊はあるかもしれませんが、シンプルに言えばそういうことです。

 

債務超過だと会社の運命を債権者に握られる

 

利益が出ていればいいのですが、赤字だとどうなるか。

これまで蓄えてきた純資産を取り崩していくことになります。

そして、純資産を全て使い果たしてしまうと、冒頭に書いたように純資産がマイナスになります。

投資したお金はゼロになったということです。

当然ながら事業を継続するためにどこかから資金を調達してきているはずですが、そのお金すらも目減りしている、という状態なのです。

 

言い方を変えて表現してみます。

 

・借金を返す当てもない状態

 

・100%他人のお金で事業を運営している状態

 

・自社の生殺与奪を債権者に100%握られている状態

 

なかなかすごい状況だと思いませんか?

長年事業をやって来た結果がこれでは報われませんよね?

 

でも、零細企業の社長にとって、あまりピンとこない部分もあるのではないでしょうか。

私がこれまで関与してきた債務超過企業の社長も、ほぼ例外なくそうでした。

なぜなら、そんな状態でも会社は動いているからです。通常通りに事業ができているからです。

おそらく、マネーゲームの側面が希薄になって、役員報酬もなんとか確保しているので、自分が拠出したお金が完全になくなっているという認識が薄いのだと思います。

 

ここが恐いところで、実際には上記のように非常に危険な状態なのです。

 

債権者(主に銀行)がダメだと言ったら従うしかありません。会社は債権者のお金で何とか持ちこたえているからです。

これで自分の会社だと言えるのか?

という疑問が湧いてくるほどの状態なのです。

 

こういうことは経営コンサルタントも話をします。でも、あくまで理論上での説明でしかありません。

社長という立場の人の肌感覚までは分からないものです。

 

そういう私も、自分でお金を出して起業してから、初めて純資産というものの本当の意味(理論ではなく実感で)が分かった気がします。

自分のお金を投下すると、だんだん恐くなってきます。

投下したお金を減らしたくないという気持ちが湧いてきます。

でも、事業を伸ばそうと思えばそのお金を使って投資していかなければなりません。

 

世の中の社長は大変な気概を持って事を起こしたんだと、改めて感じてしまうのです。

 

その気概を持ち続けて、マネーゲームの側面でも勝者になってもらいたいと心から思います。

 

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− 大村剛史

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